永住許可申請 よくある質問
永住許可申請に関するよくある質問を分かりやすく解説します。 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

永住許可 よくある質問

永住許可の基準はありますか?

永住許可の審査基準は以下の通りです。

 

⓵素行が善良であること(素行善良要件)

②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)

③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

 

(注)日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子の場合は、①及び②に適合することを要しない。

 

詳しくは、入管法ホームページに「永住許可に関するガイドライン」https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html が。公表されています。

なお、実務上、申請人が「留学」「技能実習」の在留資格の場合は、上記の要件を満たさないとして、永住許可はなされない扱いとなっています。

素行善良要件とはどういうものですか?

素行善良要件は、ガイドラインでは、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」と説明されています。

 

実際の審査では「次のいずれにも該当しない」とされています。

 

1.日本国の法令に違反して、懲役、禁固または罰金に処せられたことがある者。

(ただし、刑の消滅の規定の適用をお受ける者、執行猶予期間経過した場合、復権により資格が回復した者は該当しません。)

 

2.少年法による保護処分が継続中の者。

 

3.日常生活または社会生活において、違反行為または風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良とは認められない特段の事情がある者。

素行善良要件の「日常生活または社会生活において、違反行為または風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良とは認められない特段の事情がある者。」とは、具体的にはどのようなものですか?

軽微な法令違反のため、懲役、禁固、罰金に処せられていなくても、同様の行為を繰り返し行う者や地域社会に多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行なう者が該当します。

 

例えば、1点(20キロ未満、無灯火など)軽微な道路違反を繰り返し行う者、故意による交通違反(飲酒、無免許、20キロ超など)、刑に処せられていなくても万引きの前歴が複数ある場合、資格外活動許可の制限を超過した就労を行っているケースなどが、該当する可能性が高いと言えます。

独立生計要件とはどういうものでですか?

「日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」です。生活保護を受けておらず、現在及び将来において「自活」することが可能と認められる必要があります。

 

・独立生計要件は、必ずしも申請人本人が有していなくても、世帯全体で見た場合に安定した生活を続けられるものと認められる場合も認められます。

・「経営・管理」からの永住許可申請の場合は、経営する会社の安定性・継続性も審査されます。

・生活保護を受けていても、「日本人の配偶者」からの永住許可申請の場合は、入管法22条2項により独立生計要件は必要ありませんが(国益適合要件の観点で問題になることはある)、定住者が生活保護を受けていたり、非課税であったりすると厳しく審査されます。

・就労系資格からの永住許可申請の場合は、年収が概ね300万円+80万円×被扶養者数程度ないと、他の事情(他に資産がある等)との総合判断とは言え不許可となる可能性があると言われています。

永住許可の国益要件の一つに、納税義務を適正に果たしていることがありますが、どのように証明するのでしょうか?

住民税の納付状況、国税の納付状況を証明する資料を取得して証明します。証明する期間は、申請人の区分に応じて異なります。

 

(1)申請人の方が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者のいずれかである場合

  申請人の方が、日本人の実子(特別養子縁組を含む)、永住者の実子、特別永住者の実子のいずれかである場合

 

  ⇒直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

 

(2)申請人の方が、「定住者」の在留資格である場合

 

  ⇒直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

 

(3)申請人の方が、就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」など)及び「家族滞在」の在留資格である場合

 

  ⇒直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

 

2.所得及び納税状況を証明する資料

 

(1) 住民税の納付状況を証明する資料

 

ア 直近3年または5年の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)各1通

※ お住まいの市区町村から発行されるものです。

※ 上記については、1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。

※ 市区町村において、直近5年分の証明書が発行されない場合は、発行される最長期間分について提出してください。

※ また、上記の証明書が、入国後間もない場合や転居等により、市区町村から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にお問い合わせください。

 

イ 直近3年または5年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)

※ 直近5年間において、住民税が特別徴収(給与から天引き)されていない期間がある方は、当該期間分について提出してください。

※ 直近5年間の全ての期間において、住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方は、イの資料は不要です。アの資料のみ提出してください。

※ Web通帳の画面の写し等(取引履歴が分かるもの)であっても差し支えありません。

  ただし、加工等できない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイル等は不可)。

 

(2) 国税の納付状況を証明する資料

源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)

 

※ 住所地を管轄する税務署から発行されるものです。税務署の所在地や請求方法など、詳しくは国税庁ホームページを御確認ください。

※ 納税証明書(その3)は、証明を受けようとする税目について、証明日現在において未納がないことを証明するものですので、対象期間の指定は不要です。

※ 上記の5税目全てに係る納税証明書を提出してください。

 

(3) その他

 

次のいずれかで、所得を証明するもの

 

a.預貯金通帳の写し 適宜

b.上記aに準ずるもの 適宜

 

※ Web通帳の画面の写し等(取引履歴が分かるもの)であっても差し支えありません。

ただし、加工等できない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイル等は不可)

 

(出典:法務省https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu03.html)

納税証明書はどのように取得するのですか?

1.住民税の納付状況を証明する資料

必要な書類は、「原則として、直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)各1通」です。

 

この「課税証明」(又は「非課税証明」)と「納税証明」は、市区町村の窓口・郵送・コンビニ等で取得可能です。取得方法は、各自治体のホームページで確認して下さい。

一例として東京都杉並区であれば、以下の通りです

 

【窓口で取得する方法】 

 手数料 1通300円

 申請方法は https://www.city.suginami.tokyo.jp/faq/zeikin/shomei/1003508.html

 

【郵送で取得する方法】 

 手数料 1通につき300円分の定額小為替(郵便局・ゆうちょ銀行で購入)

 申請方法は https://www.city.suginami.tokyo.jp/faq/zeikin/shomei/1003512.html

 

【コンビニで取得する方法】

 手数料 1通200円

 申請方法は https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/annai/kuminjimusho/convenience/index.html

 

2.国税の納付状況を証明する資料

納税証明書にはいくつかの種類がありますが、永住許可申請で必要なのは、「納税証明書(その3)」(未納の税額がないことの証明)です。

税目は、「源泉所得税及び復興特別所得税」、「申告所得税及び復興特別所得税」、「消費税及び地方消費税」、「相続税」、「贈与税」です。

 

納税証明書の交付請求方法は、国税庁のホームページをご覧ください。(2023年3月現在)

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/01.htm#houhou

交通違反をして反則金を支払いました。永住許可申請の際に、罰金を支払った者は、「素行善良要件」を満たさないと判断されてしまうのでしょうか。

「日本国の法令に違反して、懲役、禁固または罰金に処せられたことがある者」に該当すると、永住許可の基準上は、「素行善良要件」を満たしません。

 

交通違反で罰金が科されるのは、危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転などにより、刑事事件として立件された場合、罪状が確定した場合です。

 

駐停車違反、信号無視、一時停止違反、速度超過(20キロ未満)の軽微な交通違反で支払わなければならない違反金は、「反則金(過料)」であって「罰金」ではありませんので、そのことだけでは「素行善良要件」に該当しないという判断にはつながりません。

 

しかし、明らかな故意による違反ケース(飲酒運転、無免許運転、20キロを超えるスピード違反など)は、<日常生活または社会生活において、違反行為または風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良とは認められない特段の事情がある者。>という判断がなされて、素行善良要件を満たさないとされる可能性があります。

永住許可申請をしましたが、不許可となりました。理由を知りたいのですが。

1回目の不許可の場合は、申請した入管窓口で理由を教えてくれます。2回目以降の不許可の場合は、教えてくれないケースがあります。

就労ビザを有する夫が永住許可申請を行う場合、同時に10年の居住要件を満たさない家族も永住許可申請できますか?

就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」など)を持つ方が、永住許可申請をする場合、「家族滞在」の在留資格である家族は、本邦に10年以上滞在していない場合でも、同時に永住許可申請できます。

 

例えば、就労系ビザを持つ申請者様に家族ビザをもつ妻と子がいた場合を考えます。

 

このとき、家族全員が同時に永住許可申請した場合、まず就労系ビザを持つ申請者の永住が許可されると、家族は「永住者の配偶者、実子」になるため、永住許可の要件の一つである「10年以上本邦に在留していること」を満たさなくても、特例である「婚姻後3年経過、1年以上継続して在留の配偶者」や「1年以上継続して在留の実子」であれば、永住許可が認められる可能性が出てきます。

 

仮に、就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」など)を持つ方(例えば夫)だけが、永住許可申請をして許可された場合は、家族は「家族滞在」の資格を失うため、在留資格変更手続きが必要となります。