永住は、在留資格の最高峰のビザです。他のビザと異なるのは、①期限がない②就労制限がない点です。
永住資格を取得するための要件は、以下のとおりです。
出入国在留管理庁のガイドライン
(1)素行善良要件
素行が善良であること (例 風紀違反・迷惑行為・犯罪歴・交通違反歴などがない)
(2)独立生計要件
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること (具体的な基準は非公表ですが、日本人のデータ(2022年は、世帯所得の中央値は423万円、全体の4割が200万円以上400万円未満))目安になります。
(3)国益要件
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること(かつ、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留*)
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について、最長の在留期間(*2024年8月現在は、特例で「3年」でOK(出入国在留管理庁HP)です。)をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※素行善良要件・独立生計要件の例外
・日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。
・難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
※ 国益要件の例外
・原則10年在留は、一定の場合に緩和される。
→ 「日本人、永住者及び特別永住者の配偶者」は、婚姻生活が3年以上、かつ1年以上本邦に在留していること。「その実子等」の場合は1年以上本邦に継続して在留していること。
→ 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。 等
家族滞在ビザ(在留資格)は,特定の在留資格を持つ外国籍の方のの扶養を受ける配偶者又は子に付与される在留資格です。
〇家族滞在が認められるビザ(在留資格)は、「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「経営・経営管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」,「高度専門職」,「介護」,「特定技能2号」のいずれかです。 → 技能実習や、特定技能1号では認められていません。
<注意>家族とは配偶者、子供を指します(子供は養子も含まれます)。ただ、実子であれ養子であれ、家族滞在のビザでは「親の扶養を受けること」が条件となりますので、子どもが日本で働くことが目的の場合は申請することができません。したがって、子どもの年齢が高くなるにつれて申請が通りづらくなります。
また、親は家族滞在ビザの対象ではありません(ただし、高度専門職については、優遇措置として、妊娠や幼児の家事育児支援の目的の場合などに一定条件下で呼び寄せ可能(出入国在留管理庁資料)です。)
「在留管理制度」とは、日本に長く住む外国の人々の情報をしっかりとわかるための仕組みです。この仕組みは、外国の人々が日本で適切に住めるようにするためにあります。この制度によって、外国の人には「在留カード」というカードが渡されます。このカードには、名前や在留資格、住む期間などの大事な情報と、顔の写真が載っています。
「在留管理制度の対象」は、日本の法律に従って、日本に長い間住むことが許されている外国の人々です。「3月以下の在留期間の人」「短期滞在の人」「在留資格の無い人」は対象外です。
「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に滞在できる資格のことです。在留資格は、就労など日本で行なう活動に着目した活動資格と、一定の身分に着目した居住資格(身分系資格)に分かれます。全部で33種類あります。
入管法別表第一の上欄の在留資格(活動資格)
●一の表(就労資格) 6種類
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道
●二の表(就労資格,上陸許可基準の適用あり) 17種類
高度専門職(1~2号)、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能(1~2号)、技能実習(1~3号)
●三の表(非就労資格) 2種類
文化活動、短期滞在
●四の表(非就労資格,上陸許可基準の適用あり) 3種類
留学、研修、家族滞在
●五の表 1種類
特定活動
入管法別表第二の上欄の在留資格(居住資格)
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 4種類
(参考:法務省 在留資格一覧表)
身分系の在留資格とも言います。「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格のことです。居住資格を持っている外国人の方は、就労制限がありませんので、単純な作業や、工場ライン作業なども可能です。
◆入管法別表第二の上欄の在留資格(居住資格)◆ 出入国在留管理庁HPより
在留資格 | 本邦において有する身分または地位 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|---|
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 |
法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。) |
無期限 |
日本人の配偶者等 |
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 |
日本人の配偶者・子・特別養子 | 5年,3年,1年又は6月 |
永住者の配偶者等 |
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 |
永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 | 5年,3年,1年又は6月 |
定住者 |
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 |
第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等 | 5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
第三国定住とは、難民キャンプ等で一時的な庇護を受けた難民を、当初庇護を求めた国から新たに受入れに合意した第三国へ移動させることです。
難民は移動先の第三国において、庇護あるいはその他の長期的な滞在許可を与えられることになります。
第三国定住による難民の受入れは、難民問題に関する負担を国際社会において適正に分担するという観点からも重視されています。
日本では、2010年にタイの難民キャンプのミャンマー難民の受入れを開始し、その後、アジア地域に一時滞在する難民への変更や受入人数の拡大等が行われました。
コロナ禍で一時中断後、2022年度前期に6名、後期に29名の年間2回、2023年度前期に21名を受け入れ、合計で250名を受け入れています。
【参考】 難民事業本部HP)
定住者とは、法務大臣が特別な理由を考慮して、一定の在留期間を指定して居住を認める外国人の在留資格です。人道上の理由や政策的理由など、さまざまな条件で定住者として認められる可能性があります。
定住者には、留学生や就労系の在留資格のような就労制限はありません。日本人と同様に、どんな仕事にも就くことができます。
定住者となる可能性がある人の例としては、次のようなものがあります。
・日系人やその配偶者
・定住者の実子
・日本人や永住者の連れ子
・日本人や永住者、定住者の6歳未満の養子
・難民認定を受けた外国人
・中国残留邦人やその親族
・父または母が永住者の在留資格を保有していた場合で、子供を外国で出産した場合
定住者には、有効期間が設定されています。有効期間は、5年、3年、1年、6ヶ月など、法務大臣が指定する期間です。
【参考】所長のブログ記事 「在留資格「定住者」とは」
「法務大臣が、個々の外国人に対して、特に指定する活動」です。
特定活動の在留資格は、①法務大臣が告示によって定めている活動(告示特定活動)②告示されていないが特別の理由があると認めらる場合(告示外特定活動)の2種類あります。在留期間は、5年、3年、1年、6月、3月または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となります。特定活動は、上陸許可基準適合性を求められない在留資格です。
①告示特定活動の例
告示特定活動は現在、46種類の活動内容があります。家事使用人、アマチュアスポーツ選手、外国人建設就労者、ロングスティ等です。
在留資格認定証明の交付対象です。
③告示外特定活動の例
告示外特定活動は、法務大臣が人道上その他の特別な事情により特に在留を認めるものです。
代表的には、「日本に在留する外国人の方の高齢となったご両親や親の呼び寄せ」「就職先が決まらないまま卒業した留学生の就職活動」「在留資格更新ができなかった場合の出国準備」などです。
在留資格認定証明の交付対象とならないので、「短期滞在」「留学」等他の在留資格から「特定活動」へ在留資格変更許可申請をします。
【参考】出入国在留管理庁 在留資格「特定活動」)
特別永住者とは、入管法上の在留資格ではなく、入管特例法(平成3年施行)に基づき在留できる法的地位のことを言います。
第二次世界大戦終了前から引き続いて日本に居住している朝鮮半島・台湾出身者およびその子孫の方々について、来日の経緯やこれらの方々はかつては日本国籍を保有していた事情などを考慮して、従来から特例的に扱われてきましたが、より安定的に身分保障を強化する目的で入管法の特例を定めるものです。
平成24(2012)年7月9日から中長期在留者の在留管理制度が導入されたことに伴い,外国人登録法が廃止され,外国人登録証明書も廃止されました。特別永住者の方に交付されていた外国人登録証明書がその法的地位等を証明するものとして重要な役割を果たしていたことに鑑み,これと同様の証明書として,法務大臣が特別永住者証明書を交付することとしました。
特別永住者証明書は、市区町村で交付し、有効期間は、16歳未満の方は16歳の誕生日まで、16歳以上の方は7回目の誕生日までです。
【参考】法務省 特別永住許可に関するQ&A
内定者のための特定活動ビザです。
内定とは、就職活動などで企業が正式に採用を決定する前に、仮に採用を約束することを指します。
大学等の在学中に就職先が内定した方や,大学等を卒業後,継続就職活動中に就職先が内定した方が,企業に採用されるまでの間本邦に滞在することを希望される場合,一定の要件を満たせば,採用時期までの滞在を目的とした「特定活動」の在留資格への変更が認められ,本邦に継続して滞在することが可能です。
〇対象者
・「留学」の在留資格で在留されている方
・継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留されている方
〇要件
・本邦の教育機関を卒業したこと又は教育機関の課程を修了したこと
・内定後1年以内であって,かつ,卒業後1年6月以内に採用されること
・企業等において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」等就労に係るいずれかの在留資格への変更が見込まれること
・内定者の在留状況に問題がないこと
・内定者と一定期間ごとに連絡をとること,内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡することについて内定先の企業が誓約すること
【参考】出入国在留管理庁「大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ」
日本で外国籍の方が農業に従事するためのビザ(在留資格)のことです。具体的には、「技能実習」「特定技能」が該当します。
農業分野で働く技能実習生と特定技能外国人の総数は令和5年12月末時点で約5万4千人です。
【参考】農林水産省 「農業分野における外国人の受入れについて」