
「永住者」の在留資格には、在留活動の制限も在留期間の制限もありません。そのため、永住許可の審査は通常の在留資格よりも慎重に行われます。
2026年(令和8年)10月1日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を大きく改定しました。収入に関する部分はすでに適用が始まっており、それ以外の部分は2027年(令和9年)4月1日以降の申請から適用されます。このページでは、改定後の考え方を中心に、永住許可申請の概要をご説明します。
在留資格を有する外国人が「永住者」への在留資格の変更を希望する場合、または出生等により「永住者」の在留資格の取得を希望する場合に行う申請です。永住許可は在留資格変更の一種ですが、より慎重な審査が必要とされるため、入管法第22条に独立した規定が設けられています。
・就労系の在留資格や「家族滞在」で長く日本に住み、より安定した在留資格を希望する方
・「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をお持ちで、日本での永住を希望する方
・高度専門職のポイントが70点以上ある方
在留期間の更新手続は不要になります。ただし、在留カードには有効期間(7年)があるため、カードの更新手続は必要です。
日本の法律に反しない限り、職種を問わず働くことができ、会社経営もできます。「経営・管理」のような資本金や事務所の要件もかかりません。
永住者の配偶者や日本で生まれた子は、「永住者の配偶者等」の在留資格の対象となり、就労の制限がなくなります。
在留期間に制限がないため、民間金融機関の長期融資の審査で有利になる傾向があります。
身分に基づく在留資格と違い、離婚や死別によって「永住者」の資格が直ちに失われることはありません。
永住者になってからも、次の点には注意が必要です。
・再入国許可(みなし再入国許可を含む)の期限内に戻らないと、永住者の資格を失います。
・住居地の届出や在留カードの更新などの義務は続きます。退去強制事由や在留資格取消事由に該当すると、永住者であっても退去強制や取消しの対象になります。
今回の改定では、どのガイドラインが適用されるかが申請日によって決まります。
| 申請日 | 適用されるガイドライン |
|---|---|
| 2026年3月31日まで | 令和8年2月24日改訂のガイドライン |
| 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 令和8年2月24日改訂のガイドライン。ただし収入(第2の4(2))と公共の負担(第2の5(7))は10月1日改定版を適用 |
| 2027年4月1日以降 | 令和8年10月1日改定のガイドライン |
あわせて、2027年4月1日に改正入管法が施行され、入管法第22条第2項に「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」が要件として明記されます。これまでもガイドライン上で審査されていた内容が、法律上の要件になるものです。
また、「我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン」は2027年3月31日で廃止され、その内容は改定後のガイドラインに組み込まれます。
法律上の要件は、次の三つです。
1.素行が善良であること(素行善良要件)
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
3.その者の永住が日本国の利益に合すること(国益要件)
日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子は、1と2を満たす必要はありません。難民認定や補完的保護対象者の認定を受けた方などは、2を満たす必要がありません。
法律を守り、日常生活でも住民として社会的に非難されることのない生活を送っていることです。違法行為や迷惑行為を繰り返している場合は、この要件を満たさないと評価されます。
現在と将来にわたって自活でき、公共の負担とならないことが求められます。改定後は、日本人と同等水準以上の経済条件が求められることが明記され、原則として同一生計の世帯単位で審査されます。
収入 世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかが見られます。
注意すべき点は次のとおりです。
・「家族滞在」など就労資格ではない在留資格の家族が資格外活動で得た収入は、世帯年収に合算されません。
・扶養している親族は、海外に住んでいても世帯人数に加えられます。世帯人数が5人以上の場合は、さらに基準額が加算されます。
・成人して親の扶養を外れている家族は、親の収入を含めずに判断されます。
これまで目安として言われてきた「単身で年収300万円」といった一律の基準ではなく、世帯の人数に応じた水準で判断される形になりました。この収入の考え方は、2026年4月1日以降の申請にすでに適用されています。
年金 年齢や過去の年金加入状況、現在の年収から見込まれる将来の年金額が、一定の水準に達しているかが見られます。年金の見込額が足りない場合でも、不足分を補える金融資産があれば、水準に達しているものとして評価されます。必要な金融資産の額は年齢に応じて異なり、若い方ほど低く設定されます。
国益に反しないというだけでなく、永住が積極的かつ具体的に日本の利益になることが必要です。主な考慮要素は次のとおりです。
〇在留期間 原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していることが求められます。改定後は「技能実習」「育成就労」「特定技能1号」「企業内転勤」と一部の「特定活動」は、この5年の就労資格に含まれません。
〇出国期間 申請前10年以内に、合理的な理由なく1回の出国で半年以上日本を離れた場合、または通算で2年6か月以上離れた場合は、原則として消極的に評価されます。
〇最長の在留期間 現在の在留資格について、最長の在留期間(多くは5年)で在留していることが求められます。2027年3月31日までの申請は在留期間「3年」でも足ります。2027年4月1日以降の申請では、同年3月31日時点で「3年」を持っていた方の初回の申請に限り、その「3年」の期限内に処分を受ける場合に「3年」で足りるものとして扱われます。
〇入管法上の義務 住居地の届出、在留カードの携帯・提示、資格外活動の禁止などの義務を守っていることです。過去の違反が判明した場合も、原則として消極的に評価されます。
〇公租公課の支払 所得税・住民税などの税金、公的医療保険料、公的年金保険料を適切に支払っていることです。申請時点で未納がなくても、過去に滞納処分を受けたことがある場合などは、原則として消極的に評価されます。世帯単位で審査されるため、ご家族の納付状況も見られます。
〇刑罰法令違反 拘禁刑や罰金刑を受けたことがある場合、少年法による保護処分を受けている場合は、原則として消極的に評価されます。
〇公共の負担 配偶者特例などで独立生計要件が求められない方でも、世帯が現に公共の負担となっている場合や、そのおそれが現実的な場合は、特段の事情がなければ消極的に評価されることがあります。この部分も2026年4月1日以降の申請にすでに適用されています。
〇日本語能力(新設) 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語能力があるかが考慮されます。日本語が、流暢である必要はありませんが、買い物や役所の窓口、職場での普段のやりとりを、人に頼らずにこなせる程度の力が想定されています。ただし、高度人材外国人とその家族、日本で初等・中等教育を累計6年以上受けた方などは対象外です。
〇日本の制度・ルールの理解(新設) 入管庁が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に、日本の制度やルールの理解度が確認されます。
〇学齢期の子の就学(新設) 義務教育の年齢の子を養育している場合は、その子が小学校または中学校に通っているかが考慮されます。
次の場合は、10年の在留期間が短縮されます。配偶者の特例は期間が長くなりましたので、ご注意ください。
| 区分 | 必要な期間 |
|---|---|
| 日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 実体のある婚姻生活が5年以上継続し、かつ引き続き3年以上在留(改定前は婚姻3年・在留1年) |
| 上記の実子等 | 引き続き3年以上在留(改定前は1年) |
| 「定住者」 | 5年以上継続して在留 |
| 難民認定・補完的保護対象者認定を受けた方 | 認定後5年以上継続して在留 |
| 高度専門職ポイント70点以上 | 必要な点数を維持して3年以上継続して在留 |
| 高度専門職ポイント80点以上・特別高度人材 | 1年以上継続して在留 |
| 外交、社会、経済、文化等の分野で日本への貢献が認められる方 | 5年以上在留 |
このほか、構造改革特区や地域再生計画に関する特例があります。在留特別許可などを受けた方には、これらの特例は適用されない場合があります。
永住許可を受けるときの手数料は、2026年10月1日以降受付の申請から200,000円になりました(9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月以降でも10,000円です)。一定の要件を満たす方は20,000円に減額される場合があります。標準処理期間は4か月から6か月です。
永住許可の要件を満たしていることは、申請者の側で資料をもって示す必要があります。ご本人の在留資格や家族構成によって必要な書類は異なり、改定後は年金や世帯収入など、確認すべき点も増えました。
当事務所では、次のことを行います。
・申請前の要件の確認(在留歴、出国期間、納税・年金の記録、世帯収入など)
・必要書類のご案内と、申請書・理由書の作成
・申請取次行政書士として、入管への申請書の提出と結果の受領
永住許可は法務大臣の広い裁量によって判断されるため、許可をお約束することはできません。要件の確認の段階で許可の見込みが低いと考えられる場合は、その理由と、いつ頃であれば申請が考えられるかをお伝えします。
出入国在留管理庁は、在留資格の区分ごとに「永住許可申請セルフチェックシート」を公開しています。
▶入管庁公式チェックシート(区分別)はこちら
◆「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」用 ⇒ https://www.moj.go.jp/isa/content/001428358.xlsx
◆「定住者」用 ⇒https://www.moj.go.jp/isa/content/001428361.xlsx
◆「就労関係の在留資格者」及び「家族滞在者」用 ⇒https://www.moj.go.jp/isa/content/001428360.xlsx
チェックの結果は許可・不許可を保証するものではありません。判断に迷う場合は、個別の事情を踏まえた検討が必要です。
永住許可(入管法第22条)・ガイドライン適用のお知らせ:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/eizyuu_00001.html
永住許可申請(手続・手数料・必要書類):https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html
永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂):https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html