法務省は2025年5月から、戸籍の「国籍」欄を「国籍・地域」に変更し、台湾の表記を可能にする省令改正を行います。住民票や在留カードでは、従来から「国籍・地域」が記載されていました。戸籍もそのようになるということです。
これまで台湾出身者は「中国」と記載されていました(注1)が、アイデンティティーの尊重を目的に変更されます。同様に、パレスチナの表記も正式に認めるとのことです。一方で、北朝鮮については「朝鮮」との表記が維持されるのことです。
この変更は、戸籍に氏名の読み仮名を追加するシステム改修と同時に実施されます。住民票や在留カードはすでに地域名の記載を認めており、戸籍の運用もこれに統一されるということになります。
これにより、台湾出身者が希望すれば「中国」表記から「台湾」への変更が可能になりります。
<注1>新聞報道によれば「戸籍上の台湾の表記の経緯については、「日本が1972年に台湾(中華民国)と国交を断絶する前に法務省が出した64年の通達が根拠の規定になっていた。「中華民国の国籍の表示を『中国』とする」と記している。法務省によると、当時正式に国交がなかった中国(中華人民共和国)の出身者の戸籍上の表記をどうするかが課題になっていた。国として承認していないため「中華人民共和国」と表記できない一方、「中華民国」と記すのも適当でないと判断し、中台ともに「中国」にしたと推測されるという。」(日経新聞2025.2.17)
日本では、原則として日本国籍を持つ人のみが戸籍を持つことができるため、外国人には独自の戸籍は作成されません。しかし、以下のケースでは外国人が戸籍に記載されることがあります。
日本人と結婚した場合(婚姻関係)
外国人が日本人と結婚しても戸籍は作られないが、日本人の戸籍の身分事項欄に名前と国籍(2025年5月以降は「国籍・地域」)が記載される。
日本に帰化した場合
外国人が日本国籍を取得(帰化)すると、新たに戸籍が作成される。戸籍には国籍(2025年5月以降は「国籍・地域」)が記載される。
日本人の養子になった場合
外国人を養子縁組によって養子にしたとき、養子は外国籍のままなので、戸籍は作成されないが、身分事項欄に名前と国籍(2025年5月以降は「国籍・地域」)が記載される。